官公需適格組合とは
官公需適格組合制度は、官公需の受注に対して意欲的であり、かつ受注した案件は十分に責任を持って納入できる経営基盤が整備されている組合であることを中小企業庁(通商産業局および沖縄総合事務局)が証明する制度です。この証明を受けられる組合は、中小企業者が組合員である事業協同組合、企業組合、協業組合等で、以下の基準を満たしていることが条件になっています。
物品・役務関係の証明基準
- 基準1
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組合事業が、組合員の協調裡に円滑に行われていること
- 基準2
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官公需の受注について熱心な指導者がいること
- 基準3
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常勤役職員が2名以上いること
- 基準4
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共同受注委員会が設置されていること
- 基準5
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役員と共同受注した案件を担当した組合員が連帯責任を負うこと
- 基準6
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検査員を置くなど検査体制が確立されていること
- 基準7
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組合運営を円滑に行うに足りる経営的収入があること
工事関係の証明基準 (上記の基準に加えてさらに)
- 基準1
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共同受注事業を1年以上行っており相当程度の受注実績があること
- 基準2
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工事1件の請負代金の額が900万円(電気、管工事等は300万円)以上のものを受注しようとする組合は、常勤役員が1名以上、常勤職員が2名以上おり、その役職員のうち2名は受注しようとする工事の技術者であること
- 基準3
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共同受注した工事の施工等について組合専従技術者が工事を監理・監督すると共に、総合的な企画および調整を行う企画・調整委員会が現場ごとに設置され、工事全体が契約通りに施工される体制があること
官公需法第3条は、「・・・国等が契約を締結するにあたっては、予算の適性な使用に留意しつつ、中小企業者の受注の機会の増大を図るように努めなければならない。この場合、組合を国等の契約の相手方として活用するよう配慮しなければならない。」と定めています。
また、毎年度閣議で決定される「中小企業に関する国等の契約の方針」においては 「国等は、法令の規程に基づく随意契約制度の活用等により、中小企業庁が、証明した官公需適格組合を始めとする事業協同組合等の受注機会の増大を図るものとする。」「特に、官公需適格組合制度については、各省庁等は、中小企業庁と協力しつつ、発注機関にたいし、その一層の周知徹底に努めるものとする。」と定め、官公需の発注にあたって組合を積極的に活用するよう明示しています。
官公需の発注案件にはその種類、規模、品質、納期等から個々の中小企業者では対応できないものもありますが、組合の共同受注事業として受注すれば確実に契約が履行できるものも多く、一件の受注によって複数の中小企業者の受注機会の増大に役立ちます。
また、事業協同組合等の組合は法定の手続きを経て国は都道府県が認可し、法人化されたもので、その運営が民主的で公平であるということが制度上確保されています。
さらに、一定の場合には、国や都道府県が指導監督できるなど信頼性の高い制度であることも、組合を積極的に活用すべきであるとする大きな理由といえます。
中小企業に関する国等の契約の方針(抜粋)
- ■ 事業協同組合等の活用
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(ア) 国等は、法令の規定に基づく随意契約制度の活用等により、中小企業庁が証明した官公需適格組合を始めとする事業協同組合等の受注期会の増大を図るものとする。 (イ) 特に、官公需適格組合制度については、各省各庁等は、中小企業庁と協力しつつ、発注機関に対し、その一層の周知徹底に努めるものとする。 - ■ 指名競争契約等における受注機会の増大
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(ア) 特に、中小工事等に係る発注及び中小企業官公需特定品目に係る発注に当たっては、できる限り中小企業者を指名するなど、特段の配慮を払うものとする。 (イ) 少額の契約案件にあっては、法令の規定に基づく随意契約制度の活用により、中小企業者の受注機会の増大を図るよう努めるものとする。 - ■ 銘柄の指定の廃止
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国等は、物品等の発注に当たっては、真にやむを得ないと認められる場合を除き、直接の銘柄指定はもとより原材料等の間接の銘柄指定等を行わないものとする。
- ■ 分割発注の推進
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国等は、物品等の発注に当たっては、数量面、工程面等からみて分割して発注することができるかどうかを十分検討し、可能な限り分割して発注を行うよう努めるものとする。
- ■ 中小建設業者に対する配慮
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国等は、上記に掲げるもののほか、中小建設業者を取り巻く現下の諸情勢にかんがみ、共同請負制度の活用等により建設業者に対し特段の配慮を払い、その受注機会の増大に努めるものとする。
また、地元建設業者、専門工事業者等の中小建設業者を活用して円滑かつ効率的な施工が期待できる工事については、極力分割発注を行うように努めるものとする。 - ■ 計画的発注の推進
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国等は、物品等の発注に当たっては、可能な限り、計画的な発注を行うとともに、適正な納期、工期の設定に配慮するものとする。
- ■ 適正価格による発注
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国等は、中小企業者に対する物品等の発注に当たっては、需給の状況、原材料価格の実情、消費税の負担等を勘案し、適正な価格での発注に配慮するものとする。
等や地方公共団体が官公需を発注するにあたって価格・品質・企画・納期・契約履行上の管理などの諸条件を考慮しながら、発注機関によって、信頼にできる最も有利な相手方と契約するのは当然のことです。それは官公需適格組合が受注する場合も同じことです。
官公需適格組合は、中小企業団体中央会の指導を受けながら、組合員全員が一体となって受注契約を確実に履行できる技術力や施工能力等の向上と、受注機関の信頼に十分応えることのできる責任体制を確立するため最大の努力を払っています。
これらの組合では、共同受注委員会を設置したり共同受注規約を定め、契約した案件に対する各組合員の仕事の分担と連帯責任を明確にしています。
特に、工事の施工に当たっては、組合自身が専従の技術者を配置し、施工管理・監督等を行うとともに、現場毎に企画調整委員会を設けて工事が契約通りに確実に履行できる体制を整えています。
また、工事等の契約案件が確実に施工されていることをチェックする検査員を置くなど検査体制も確立されていますし、工事等に関する一切の責任は、役員および担当した組合員が連帯してその責任を負う仕組みをとっています。
官公需適格組合は、責任ある受注体制を確立しており、発注機関に信頼される共同受注事業となることをめざしています。